ヘタレな野獣
なんて事・・・
この間ヨレヨレ君と行ったレイトショー、そこであんな写真を撮られていたなんて・・・

私は慌てて食器を返却口に戻し、小走りに食堂を出た。


「小泉に飽きたらあいつかよ、あいつに飽きたら、俺に声かけてぇえん、ぎゃははははっ・・・」

そんな言葉を背中に聞きながら、とにかくここを離れたかった。


女子トイレに駆け込み、洗面台に両手を付く。


悔しい、最後に聞こえたあの言葉・・・


えっ?

なんであいつが、私と正君が付き合っていたのを奴が知っているのよ。


ううん、それよりも、ヨレヨレ君に迷惑がかかる、どうしよう、彼はまだ、正式には部長に認めて貰ってはいないのだから。


どうしようか、岸田に相談しようか、・・・


考えが定まらないまま、ここでこんな事をしていても埒は明かない。


トイレのドアを開けようとした時、ドアが勝手に開いた。


「冬子、大丈夫?」

勝手に開いたのではなく、岸田が開けたのだった。

心配そうに私を見ている岸田。


そっか、さっきの騒動、岸田は食堂の近くに居たか何かで、知ってるんだ、そう思った瞬間、涙が止めどなく溢れてきた。




「少しは落ち着いた?」

差し出されたカップを受け取る。中身はアイスオーレだった。

「ありがとう・・」

ここは人事課の資料室、所謂倉庫のような所だ。





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