ヘタレな野獣
そんな彼を見ていた私と目が合うと、腰の辺りで右手をグゥの形から中指だけを立てて、私を睨み付けてきた。


っ!!!!!

怖い・・・

「補佐、奴と何かあったんすか?」

武田君に声をかけられ、隣を見ると、武田君は鋭い目つきで下柳を見ていた。

「えっと・・・下柳とは、特に何もないんだけどね?・・・」



「では、これで営業会議を終了致します、尚次回の会議は6月29日です、次回迄に・・・」


良かった、何も起こらなくて、本当に良かった、私は胸を撫で下ろしていた。



「田崎補佐、ちょっと・・・」

武田君と会議室を後にしようとしたその時、矢野課長に呼び止められた。

前の方で上司が何やら話していたが、まさか私が呼ばれるとは・・・


「田崎補佐、何かやらかしたんすか?」

半笑いで武田君がからかって来るんだけど、私は笑えない。

「うそ、マジ?・・・」
「もお、いいから先に戻ってて・・・」


私は武田君と別れて、上座に行く。



上座には山田部長を始め、一課の矢野課長、二課の雨宮課長、そして何故か下柳もそこに居て、イヤらしく笑みを浮かべていた。

「何でしょうか・・・」
「・・・ん、とにかくそこにかけなさい、」

山田部長に言われた通り、私は椅子に腰掛けた。

「特に就業時間以外を拘束するつもりもない、雨宮課長の事も君に任せていた訳だし・・・
しかし、これは・・・」



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