今日も世界は回ってる
「この野郎!」

抵抗された所で、動揺などない。

黒人達は一斉に襲いかかって来た。

褐色の肌の筋肉が躍動し、まるで猛獣のように龍宇に覆い被さる。

両腕で押さえつけられると、万力で絞め上げられているのではないかと思うほどに身動きが取れなくなる。

しかし、龍宇は動じない。

僅かな隙間さえあれば、『それ』は可能なのだから。

まずは手打ちで筋肉を押さえるように拳を出し、そのまま突き入れる。

一挙動で行うので、2発打っているようには見えない。

実際に2発打つのではないのだ。

この打撃のキモは筋肉を押さえてから、真に力を放つ事にある。

要は筋肉による弾力を封じるのだ。

打撃を受ける場合の一番単純な防御方法は、筋肉を固く緊張させる事。

筋肉による弾力が生じ、また身体内部の水分が効率よく打撃の威力を分散させる。

逆を言えば、筋肉による弾性を封じれば、相手は柔な水袋も同然となる。

これを俗に『二打打ち』という。

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