雫に溺れて甘く香る
「起きたなら、挨拶くらいしろ」

上から覆い被さってくる彼に、目を見開いて逃げ道を探す。

「寝てたから……って、寝たふりだったけど!!」

「訂正する事はない。確かに寝ていた」


何て寝起きがいいんだっ!!


「じゃなくて!! ちょっ……」

押さえつけられた腕に、あわあわと慌てた。

「待たない」

太腿の間に足を割り込ませられて、とても焦る。

この格好で、この体勢はとても危ない……。

や……危ないと言うか、危険ゾーンじゃないかな?


持っていた下着を取り上げられ、それを後ろに無造作に放り投げられた。


ヒラリとそれが床に落ちていく……。


「……あっ」

「あ、じゃないだろう」


ニヤリと笑った続木さんと目が合い……冷や汗が流れる。

これは色んな意味でヤバイ。


「あ、あの。もう十分で……」

「俺はまだ」

「………っ!」

実は最近の週末の朝は、そんな感じでいつも始まる。


……思えば、自分勝手と言う言葉がよく似合う。


コトが終わった後、シャワーを浴びてから、ご飯の支度を始めて……。

炊き上がったご飯をよそいながら、ブツブツと文句を口の中で呟いた。

シャワーを浴び終わったらしい続木さんが、上半身は裸、下にはスェットと言う姿で出て来る。

細マッチョは私の好み過ぎて、思わずトキメキを覚えるのは、乙女心のなせるワザなのだろうか──……。


今更だとは思うけれど。
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