雫に溺れて甘く香る
普段それはそれは涼しい顔してるけれど、その涼しい顔でとんでもなくエッチだから。

付き合う前は、お店が終わってからホテルで抱き合って、ホテルで別れるだけの関係で──……。


だけど付き合う事になってから、また私がお店に通うようになって。

週末は、続木さんが仕事に出かける16時まではゆっくりと……。


ゆっくりと……。


うわぁ。思い出したらダメだ。顔から火が出そうになる!

昨日の晩と、今朝の出来事を思い出して顔はきっと真っ赤だ。

それでも出来上がった朝ごはんを出していたら、続木さんは私を眺めて眉を上げた。

「お前さ……」

煙草に火をつける音が聞こえて、甘い香りが漂い始める。

その声に視線を上げると……。


「スケベだな」

「…………」


あんたに言われたくないから!!

あんたがスケベだから、そうなるんでしょうがっ!

まぁ。私も私で止めないけれど……。


「山に行きたいの?」

お箸を渡しながら向かいのソファーに座り、何となく醤油注しを手にする。

「醤油いる?」

「ん……」

煙草を吸っている続木さん。

卵焼きに軽くかけて、醤油注しをテーブルに置いた。

「……もう海は寒い」

よく解らないけれど。

「山だって同じでしょ」

「秋だし」

よ、よく解らないけれど。何がしたいんだろう。
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