雫に溺れて甘く香る
その長い指が好き。
前よりももっと、優しく触れてくれる指先が好きだな。
その違いは、私にだってわかってる。
チョコレートに似た甘い煙が漂って、その香りが私を包み込んで……。
抱きしめられた。
「悠紀……」
「ん……?」
居心地のいい場所を探して、ちょっともぞもぞしていたら、続木さんが頭の上でふっと笑ったような気がした。
「お前……合い鍵作れ」
「は?」
「お前の家に帰る」
それは、ぶっきらぼうな続木さんの言葉で。
だけど、それは彼の甘い約束。
顔を上げると、少しだけ困ったように視線を逸らされた。
「……私は、夜中に起こされても困るんだけど」
「俺は、朝早く起こされても困る」
お互いに憎まれ口を叩きながら、でも私はきっと笑ってる。
チラッと目が合うと、続木さんもくっと唇の端を上げた。
「今度、作っておくね」
もうすでに作ってます。そんな事は内緒にしておこう。
鍵を作ってた事も、その時同級生に会って、ちょっとだけ……本当にほんの少しだけときめいた事も。
秘密にしてしまおう。
過去は過去だし。これから未来を作って行こう。
そう思いながら微笑んだ。
前よりももっと、優しく触れてくれる指先が好きだな。
その違いは、私にだってわかってる。
チョコレートに似た甘い煙が漂って、その香りが私を包み込んで……。
抱きしめられた。
「悠紀……」
「ん……?」
居心地のいい場所を探して、ちょっともぞもぞしていたら、続木さんが頭の上でふっと笑ったような気がした。
「お前……合い鍵作れ」
「は?」
「お前の家に帰る」
それは、ぶっきらぼうな続木さんの言葉で。
だけど、それは彼の甘い約束。
顔を上げると、少しだけ困ったように視線を逸らされた。
「……私は、夜中に起こされても困るんだけど」
「俺は、朝早く起こされても困る」
お互いに憎まれ口を叩きながら、でも私はきっと笑ってる。
チラッと目が合うと、続木さんもくっと唇の端を上げた。
「今度、作っておくね」
もうすでに作ってます。そんな事は内緒にしておこう。
鍵を作ってた事も、その時同級生に会って、ちょっとだけ……本当にほんの少しだけときめいた事も。
秘密にしてしまおう。
過去は過去だし。これから未来を作って行こう。
そう思いながら微笑んだ。