雫に溺れて甘く香る
今なんか……おかしな言葉を聞いたような気がするなぁ。
一目惚れとかなんとか。
黙ったまま彼に頭を拭かれていると、脇で女の子の声が聞こえた。
「……そんな顔、初めて見た」
ポツリと呟かれた言葉は、元カノのものだと思う。
タオルとマフラーでごちゃごちゃにされた髪の隙間から、彼女が持っていたグラスを篠原さんに渡している姿が見えた。
「私と一年以上もつきあっておきながら、いつも何を考えてるかわかんないような男だと思っていたけど、ちゃんと怒ったり焦ったりするんだ」
……彼女はふぅっと息を吐き出すと、困ったように前髪をいじりながら私を見る。
「……ちょっと癪に障ったんだよね。私の時にはあんなことされたことがなかったから」
「あんなこと……」
「道端で抱き寄せるとか、冗談にも程があるよ。私とはキスすらしなかったくせに。なんか興醒めって感じ」
え?
ポカンとしている目の前で、彼女は篠原さんに会計をお願いして支払いをしている。
それをぼんやりと眺め、それから店内に「お騒がせしました」とお詫びすると彼女はどこかスッキリしたような表情で出て行った。
それを黙って見送り、ゆっくりと視線を逸らしている続木さんを見上げた。
うーん……なんて言うか。今、何だかいろいろと衝撃な事を立て続けに聞いたよ?
一目惚れとかなんとか。
黙ったまま彼に頭を拭かれていると、脇で女の子の声が聞こえた。
「……そんな顔、初めて見た」
ポツリと呟かれた言葉は、元カノのものだと思う。
タオルとマフラーでごちゃごちゃにされた髪の隙間から、彼女が持っていたグラスを篠原さんに渡している姿が見えた。
「私と一年以上もつきあっておきながら、いつも何を考えてるかわかんないような男だと思っていたけど、ちゃんと怒ったり焦ったりするんだ」
……彼女はふぅっと息を吐き出すと、困ったように前髪をいじりながら私を見る。
「……ちょっと癪に障ったんだよね。私の時にはあんなことされたことがなかったから」
「あんなこと……」
「道端で抱き寄せるとか、冗談にも程があるよ。私とはキスすらしなかったくせに。なんか興醒めって感じ」
え?
ポカンとしている目の前で、彼女は篠原さんに会計をお願いして支払いをしている。
それをぼんやりと眺め、それから店内に「お騒がせしました」とお詫びすると彼女はどこかスッキリしたような表情で出て行った。
それを黙って見送り、ゆっくりと視線を逸らしている続木さんを見上げた。
うーん……なんて言うか。今、何だかいろいろと衝撃な事を立て続けに聞いたよ?