雫に溺れて甘く香る
普通なら私が動くべきなんだろうけど、ここは篠原さんの部屋だし、二人に任せてしまおう。

「座ってろ」

端的に続木さんに命令されたけど、おとなしくリビングにあったソファーに座って動き回っている男性達を見た。

「それで?」

続木さんがこっちを向きながら小さく苦笑する。

「城島さんて、シノが可愛がってる子がいる」

さっきの彼女ね?

「違うよ、続木。お気に入りの子だよ」

中野さんの言葉に、続木さんは彼を振り返った。

「いや、あれは可愛がってるだろ」

「まぁ……可愛がってると言えるのかな?」

「とにかくその娘が、悠紀を見て帰ったらしい」

最後に続木さんは私を見て、ニヤリと笑う。

「なんで?」

また二人は顔を見合わせ、同時に口を開く。

「誤解してたから」

誤解……誤解~?
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