雫に溺れて甘く香る
オマケ:ある日の休日
*****



何となくけだるい気分で目覚めた、真冬の日曜。

カーテンを開けるかどうか考えて、やめる事にした。

昨日は早めの0時に帰って来た続木さん。

それは最近できた連休前の特権ルールらしい。

寝てる所を起こすのも可哀相だ。

……と言っても、この人が抱き枕よろしく絡み付いてきたので、私は目が覚めたとも言うんだけど。

やっぱり起こしちゃおうかな?


いや、やめておこう。


今日は休日なワケだから、起こすと私が大変──……



「どこに行くんだ?」

腕から抜け出しただけで起きる、この人の寝起きの良さはなんなの?


「シャ、シャワー……」

「別にいい」

「いや、貴方の主観でものを言われてもね?」

「どうせ、すぐに汗をかく」

「ちょ……ま……っ」


休日の朝は、彼を起こしてはいけない。

これは同棲し始めて、すぐに理解した教訓。





「……なんて目覚めだろうぅ」

さんざん疲れさせられて、力の入らない身体をシーツに包み頭を抱える。


「目ぇ覚めてただろ」

「まだ寝ぼけてたよ」

「ああ……どおりで」

「………」

何が“通りで”なのかは聞かないでおこう。

落ちてるTシャツを拾って、それを続木さんにくっつける。

「うわっ冷た……っ」

「うん」

「……何してるんだ?」

「暖めようと思って」

私より、続木さんの方が体温高いし。

早くに暖まるし。

「……もっと暖めてやろうか?」

「遠慮しておく」

それじゃ、いつまで経っても起きれないし、そのうち起き上がれなくなるし。
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