雫に溺れて甘く香る
「まぁ、それもいいが……」

それもいいが?

「来年、やっぱりもっと広い部屋に引っ越しよう」

「ん?」

広い部屋?

「都心に近い方がいい。一戸建ては難しいしらしいし。と言うか忘れ去られてるみたいだし」

「んん?」

いや。覚えてるよ。ただちょっと都心に一戸建ては、少し現実的じゃないっていうか。

「やっぱり先のコト考えると、一戸建ての方がいいと思うんだが……」

「はぁ……」


暢気に相槌を打ったなら、手酷いデコピンをお見舞いされた。


「ん? じゃない。お前はいい加減にしろ」

「いきなり何」

「いきなりじゃない。俺はハッキリ言ってるぞ」

「何をよっ」

続木さんは盛大に溜め息をついて、それから髪をかき上げた。


「まぁ、とりあえず。水着はあるか?」

「はぁ!?」


頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになった。










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