雫に溺れて甘く香る
***
「デートならデートと、ちゃんと言ってほしい」
ブツブツと呟きながらも、目の前には篠原さんの“お気に入り”の城島さんが困った顔でオレンジジュースを飲んでいたりする。
「いいじゃないですか。まだデートだって解るんですから」
「でもねぇ……」
「私なんて最初、10分以内に水着持って下りてこないとマンションの入口で名前を叫ぶって言われたんですよ!」
「やらせればいいじゃん」
「やらせたことはあります」
しみじみ言う城島さんに、篠原さんがどんな反応をしたのか興味が……。
「本当にやって、私は管理人さんに叱られましたから……」
お疲れ様であります。
「篠原さん、きっと私をいじり倒すのが趣味なんですよ。何を考えてるんだか、さっぱり……」
彼女の愚痴を聞きつつ、競って泳ぎ続けている二人の男たちを眺めた。
冬でも常夏“リゾート気分を叶えます”が売りの、ホテルプールのペアチケット。
それを手に入れたのは篠原さんらしいけれど……。
きっと彼の方は“ご愁傷様”なのかもしれない。
2012.1.19(完結)
2016.7.24加筆修正
「デートならデートと、ちゃんと言ってほしい」
ブツブツと呟きながらも、目の前には篠原さんの“お気に入り”の城島さんが困った顔でオレンジジュースを飲んでいたりする。
「いいじゃないですか。まだデートだって解るんですから」
「でもねぇ……」
「私なんて最初、10分以内に水着持って下りてこないとマンションの入口で名前を叫ぶって言われたんですよ!」
「やらせればいいじゃん」
「やらせたことはあります」
しみじみ言う城島さんに、篠原さんがどんな反応をしたのか興味が……。
「本当にやって、私は管理人さんに叱られましたから……」
お疲れ様であります。
「篠原さん、きっと私をいじり倒すのが趣味なんですよ。何を考えてるんだか、さっぱり……」
彼女の愚痴を聞きつつ、競って泳ぎ続けている二人の男たちを眺めた。
冬でも常夏“リゾート気分を叶えます”が売りの、ホテルプールのペアチケット。
それを手に入れたのは篠原さんらしいけれど……。
きっと彼の方は“ご愁傷様”なのかもしれない。
2012.1.19(完結)
2016.7.24加筆修正