雫に溺れて甘く香る
でもって、もうひとつわかった。
「続木さんて、人の話を聞いてないようで、ちゃんと聞いてるんだね?」
「そりゃ聞くだろう。今、この席には俺とあんたしかいないんだし」
他に人がいたら、我関せずって事なのかな?
そうだなー。普段も、篠原さんがいたら話しかけても来ないもんね。
続木さんはいつも……誰に対しても、そんな感じなのかもしれない。
「うん。じゃ、じっくり竹取物語聞いててね」
「いや、だから待て。どーしてあんたは俺に竹取物語を聞かせたい? って言うか、よく覚えてんな、そんな話」
学生時代、丸暗記させられて、なおかつ朗読させられたし。
それに……。
「かぐや姫って、究極のワガママ姫だと思わない?」
グラスを傾けながらボソボソ言うと、続木さんは少し顔をしかめた。
「何が言いたい?」
「べっつにー?」
そ知らぬふりでグラスを置くと、続木さんからイラッとした雰囲気を感じる。
いやー……私も性格悪いな。
「じゃ、違う話をしてあげる。昔々あるところに……」
「わかった。悪かった。ちゃんと返事するから、昔話はやめろ」
呆れたようにそんな事を言うから、ニッコリ微笑みを返すと、当たり障りのない季節の話から始める。
結果として、ほとんど私が話していたような気もするけど、続木さんは時々返事をしてくれた。
でも……ワガママ姫とケンカでもしてしまえ。そんな事を願ってしまう私は、やっぱり性格が悪いんだろう。
そう思えた。
「続木さんて、人の話を聞いてないようで、ちゃんと聞いてるんだね?」
「そりゃ聞くだろう。今、この席には俺とあんたしかいないんだし」
他に人がいたら、我関せずって事なのかな?
そうだなー。普段も、篠原さんがいたら話しかけても来ないもんね。
続木さんはいつも……誰に対しても、そんな感じなのかもしれない。
「うん。じゃ、じっくり竹取物語聞いててね」
「いや、だから待て。どーしてあんたは俺に竹取物語を聞かせたい? って言うか、よく覚えてんな、そんな話」
学生時代、丸暗記させられて、なおかつ朗読させられたし。
それに……。
「かぐや姫って、究極のワガママ姫だと思わない?」
グラスを傾けながらボソボソ言うと、続木さんは少し顔をしかめた。
「何が言いたい?」
「べっつにー?」
そ知らぬふりでグラスを置くと、続木さんからイラッとした雰囲気を感じる。
いやー……私も性格悪いな。
「じゃ、違う話をしてあげる。昔々あるところに……」
「わかった。悪かった。ちゃんと返事するから、昔話はやめろ」
呆れたようにそんな事を言うから、ニッコリ微笑みを返すと、当たり障りのない季節の話から始める。
結果として、ほとんど私が話していたような気もするけど、続木さんは時々返事をしてくれた。
でも……ワガママ姫とケンカでもしてしまえ。そんな事を願ってしまう私は、やっぱり性格が悪いんだろう。
そう思えた。