雫に溺れて甘く香る
「何やってんの?」

本当に何やってんだろうね!

私が私に聞きたいよ!

髪はきっとボサボサだし、身体のあちこち痛いし、昨日、シャワー浴びてそのままコトに雪崩れ込んだから、素っぴんだし!


いや、昨日じゃなくて、もう今日だったかな?


考えていたら、どこかで微かな振動音がして……。

その音に、冷水を浴びせられたように凍りついた。


そっとシーツの隙間から覗くと、続木さんがコーヒーカップ片手に立っていて、スマホの画面を見ている。

そして無表情に、とても静かにそれを眺めていた。

そうしているうちにも、バイブの音は鳴り止まない。

鳴り止まないと言うことは、メールじゃなくて通話なんだろう。


……浮かれている場合じゃないか。

そっと息を吐き出して、シーツを巻き付けたままベッドに起き上がると、ゆっくりした動作で静かにお風呂場へ向かった。

脱衣所につくと、シーツを落としてから浴室に入る。

入ってから、シャワーを勢いよく出し、その下に座り込んだ。


……とっても暖かい。

だけど身体は寒い。

身体の中心がとても冷え冷えして、自分の身体が自分のものじゃないみたいだ。

そんなはずはないのに、そんな風に感じるわけがないのに、そう思えてしまう。


……馬鹿みたい。


そう思った瞬間に笑えてきた。
< 51 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop