雫に溺れて甘く香る
「な……っ! 続木さ……」

「少し黙れ」

いや。黙ってられないと思うの。

「こっちの方だな」

そう言って入ったのは、さっきとは違うホテルで。

「待って……っ」

何を考えてるの? 全くわからないんだけど。

「黙れって言っただろ」

「んぅ……っ!」

唇を塞がれて腰を引き寄せられた。


彼のキスも好き。身体の芯までとろけそうになって……思考の全てが奪われる。

キスをしたまま抱き上げられ、ふわふわとする思考のなかで、どこか甘い香りを吸い込んだ。


「お前……感じやすいよな」

笑い混じりのその言葉が頭にの中に浸透する頃……。

「なん……っ!?」

「遅い」

白とピンクが基調の、やたらと可愛らしい部屋の中に入った。


「ちょっ! 何を考えてるのよ」

私を床に下ろして、ジャケットを脱がしながら、続木さんは微かに片方の口角を上げる。

「そっくりそのまま返してやる」

次にブラウスのボタンに手をかけられて、本当に我に返った。

「ちょっと、ちょ……っ」

「今更、恥ずかしがる事ないだろう」

「そうじゃなくて、どうして脱がすの!」

一瞬だけ手が止まって、それから眉を上げられる。

「……何」

「脱がしたいからだろ」

さらっとスカートのホックを外されて、ストンと足元に落ちた。
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