雫に溺れて甘く香る
続木さんに“告白”されてから二日経っている。

変わったような変わらないような、だけど確実に変化した私たちの関係。

何となく照れる。照れるんだけど……。

これが彼の“彼女”の扱い方なのかな。

うん。ちゃんと私は続木さんの彼女ってことなんだと思う。


嬉しいんだけど実感がわかないのは、たぶん今まで付き合った人と続木さんではタイプが違うからかもしれない。

今までの男の人は、どちらかと言うと直情的で、けっこうどストレートに言ってきたけど……。

続木さんって、使う単語は直球に近いけど、ある意味で歪曲してくるよね。

正直言ってわかりずらーい。


でもまぁ……何て言うか、それなりに大切にされているのかな。


「そう言えば篠原さん。誰か好きな人いるの?」

話題を変えようと話を振ったら、カクテルを作ろうとしていた篠原さんの手が、ピタリと止まった。

「唐突にどうしました?」

「え? だって私は“対象外”で、篠原さんには“他にいる”んでしょ? なんか私は内輪に数えられてるみたいだし、篠原さんに彼女がいるならいるって教えてくれそうだし、続木さんが牽制かけるなら、いないんだろうし……?」

首を傾げると、篠原さんは疲れたような顔をした。

「その洞察力は、続木の為にとっておいてあげてください」

……やっぱり洞察力が必要か。
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