雫に溺れて甘く香る
友達が言うなら間違いないよね。

そう思って続木さんを見たら、じっと篠原さんを眺めていた。

「お前らよく話してるよな」

「工藤さん営業職だし、話すだろ?」

篠原さんが答えて、カクテル作りを再開する。


「そうか?」

言いながら、続木さんは今度は私を見るけど……そんな懐疑的な視線を向けられても困るからね。

「なーにー? 私はまたお話すればいいの?」

「昔話はいい。俺だって聞かれれば答える」

「冗談だから。何だかベラベラしゃべる続木さんを想像できないし。そんなに無理しても疲れちゃうでしょ」

「それでいいのか?」

「うん。いいよ」

別にお話してくれる続木さんを好きになったわけじゃないし。


眼がね……綺麗なんだよね。

イライラしていたことの方が多いし、表情は変わりにくいから冷たく見えるけど、それがとっても綺麗で。

……まぁ、それなりに色々あったわけではあるけど、続木さんって実は口がうまくないんだろうな。

下手に口がうまい男よりはいいと思うし、付き合い始めたからって激変されても驚愕だよ。

うんうん。急に変わられてもこっちが困るし、実際いきなり焼きもち焼かれてどうしようかってなったんだし、焼きもちって焼かれたら慰めるもの?

ううん。慰めるのはおかしいよね。宥める方が正解かな。

……かといって、こんなところで宥めるわけにいかないし。

「ごめんね」

「何がだ?」

うわ。聞き返された!
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