プリンセス騎士 ※更新中※






「おい!今のはいくらなんでも言い過ぎだろ!!」

「いいよ洸くん。あたし…大丈夫だから。」

「でも!!」

「大丈夫。…大丈夫だら。」





ぎゅっと握りこぶしに力を入れ、痛いほどの視線を背中に浴びながら教室を出る。


中から聞こえるのはテストを再開させる教師の声。

怒りに耐えかね机を蹴る音。



静まり返った教室では今まさにテストが行われている。

さっきの事件がまるで夢だったかのように。



あたしは崖から突き落とされた気分なのに…。

自分達は知らんぷり?

自分達だけテスト続けるの?



悔しくて悔しくて涙が溢れる。


誰がこんなことしたの。

なんためにカンニングなんて仕組んだの。


涙で視界が曇り、前が見えない。

乃戸香は涙を拭きながら走りだした。






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