プリンセス騎士 ※更新中※






「未戸香、泣いたの?」

「えっ?泣いてないよ。浜辺にいたから砂が入っちゃって。」





苦し紛れの嘘。

ほんとのことなんて言えないし。



と、空気を変えるようにプレートでお肉を焼いていたおばちゃんが話しかけてきた。





「これ美味しいわよ♪」





差し出されたお肉をぱくり。



美味しい!

今まで食べたお肉の中で一番美味しい。





「「それください!」」





声が重なり目が合う。

おばちゃんは「ふふ…」っと笑いながらお肉を寄こす。





「素敵なカップルさんね。末永くお幸せ。」





か、カップル!?

違う違う!!





「違いますよ!」





慌てて弁解する未戸香の横で陽一はクスッと笑ってカートを押し、先に行こうとする。





「照れ屋な彼氏さんね。」

「だから違っ」

「3つください。」

「はいよー!」





言い終える前に他のお客さんの相手を始めてしまった。



ほんとに違うのに。

陽一くんに失礼だよ。






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