プリンセス騎士 ※更新中※






「おはようございます、麗華さん。」





陽一くんとは目を合わせずに麗華さんだけを見よう。

見たら絶対挙動不審になりそうだし。





「おはよう♪で、ここでなにしてるの??」





今日もお姫様スマイルは健在のご様子。

目を大きくしてジリジリと近づいてくる。



なんて話そう…

昨日の話なんてしたらキスしたことがバレちゃうし。

かと言って“なんでもない”は通用しなさそう。



キラキラな瞳があたしの目を射抜く。



どうしよう…

どう切り抜けよう…



何も思いつかない。

もうダメだーー!!と思ったその時、





「調子悪いんです、未戸香。さっきまで吐き気するって言ってて。」





美穂が助け舟を出してくれた。



美穂ーありがとう。

涙が出そうだよ…

初めて神様かと思いました。



“話を合わせて”と口パクする美穂に未戸香はすかさず話を合わす。





「そうなの?」

「は、はい。昨日雨に当たっちゃって…」

「雨降ったのって12時過ぎだよね?そんな時間になにしてたの?」





笑ってるのに笑ってない麗華さんの瞳。

初めて“この人、怖い”と思った。


答えれば答えただけ質問が返ってくる。

隙のない女性だ。





「私と会ってたんです。もういいですよね。未戸香、教室行こ。」

「うん…」





少し強引に腕を掴まれ美穂と教室へ行こうとした時、





「────から…」

「え…」





麗華さんが何か言ったをあたしは聞き逃さなかった。





「どうかした?」

「今…ううん、なんでもない。」





何を言ったかはわからない。

あたしだけが聞こえた小さな呟き。

この時、あたしは確信した。






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