プリンセス騎士 ※更新中※






いつもは一人で帰る道も今日は遥先輩がいる。

こうして誰かと帰るの、初めてかも。



チラッと横目で先輩を見上げる。

180cmぐらいはありそうな身長にたくましい腕。

きっと前から見たら凸凹カップルに見られるに違いない。





「どうかしたか?」





不意に顔を上げると先輩と目が合った。





「い、いえ!なんでもないです。」





不自然に目を逸らしたけど変に思われてないかな…

変な子とか思われたらどうしよう…



あたしの不安なんか気にもせずに先輩は口を開いた。





「こうやって2人になるのは初めてだな。」

「そうですね。いつもは陽一くんや洸くん達がいますからね。」





みんないたらどんちゃん騒ぎなのに今はとても静か。

人がいないだけでこんなにも静かになるんだ。





「みんなを頼むな。」





言葉の意味はすぐにわかった。



先輩、3年生だから来年には卒業しちゃうんだもんね。

だから姫のあたしに、“頼みます”って言ってるんだと思う。





「3年生がいなくなると寂しくなります。」

「洸がいるから大丈夫だろ。」

「ふふっ…そうですね。」

「なんだかしんみりしちゃったな。」

「いえ!先輩と帰れて嬉しかったですよ♪」





家を目前に先輩は独り言のように呟いた。





「陽一を頼んだ。」

「え?」

「また明日な!」





さよならも言う間なく先輩の背中が小さくなっていく。



今のは…どういう意味?





『陽一の頼んだ』

この意味を知ったのは、少し先の未来でのこと…。






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