プリフックス byリトルハート
窮屈な会社を出て、近くの神社に向かう。
神社はこの会社から5分も罹らないところにあり、お昼休みに行くのにちょうどいい。
その神社の広い境内には樹齢何年という、大きな黄がたくさんあった。
そのなかでも大きく神社の裏側にある桜の木の下に石のベンチがある。
―――――――そこが私の特等席である。
春には桜が咲き乱れ、小鳥のさえずりが聞こえる。
秋と言う今の季節には、枯れ葉が風に舞い、静かに冬の訪れを待っている。
その静かな空間が私は好きだった。
一時の間、風にあたるのも気持ちがいい。仕事の合間にこの神社にくることが唯一の楽しみでもあった。
ちょうど、神社の影に隠れている桜の木が見えたところで私は立ち止まった。
「先客?」
私がいつも座る石のベンチには、すでに誰かが座っていた。