あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
両親がこの顔を見たらどんな表情をするだろう?
そう考えて、私はため息をついた。
そう。
今日は主任と両親に結婚の許しを貰いに行く日。
結局、主任の説得に頷くことしかできず、私たちの結婚が決まった。
忘れてはいけない。彼は営業部でもかなりのエース。
口で勝とうと思うほうが間違いだ。
そして、週末の日曜。
この日は元から取引先との打ち合わせや何やらは入っていない。
だから、主任の車で実家までやってきた。
「綾音。体調が大丈夫なら、行こう」
「……主任。体調は大丈夫ですが、心のほうは全然大丈夫じゃないです」
インターホンを目の前にして、怖気づいてしまった私は、身体が固まってしまっている。
緊張とかそういうのもあるけど、何より私の中にあるのは、罪悪感と本当にこのままでいいのか?という疑問だけだ。