あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「挨拶行くまで、散々反対していたわりに、今度はやけに素直だな」
主任がそんなことを言うから、私は苦笑した。
「覚悟ができました」
「ほう」
「主任。私達が幸せだ、って言い切れる家庭を作りましょうね。子供のためにもそれが一番です」
私は自然とお腹に手をやった。
ここにいる命。
主任と私の子供。
何か不思議な気分だ。
3ヶ月も前は、勇輝との未来しか見えなかった。
なのに、今、何故か職場の上司との結婚が決まった。
「そうだな。家庭環境は子供の未来を大きく左右する。生まれてくるからには、ちゃんと育ててあげたい」
主任の大きな手が、お腹に置いた私の手の上に重なった。
真っ直ぐな視線を注がれる。
「守っていこう。ふたりで」
「はい」
私は主任の目を見て、はにかんだ。