あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
それからも、主任と話し合って。
式は挙げないこと。
私は仕事を辞めないことを決めた。
その2つはどちらも私が主張したことだ。
結婚式というものに、特別、憧れも何もなかったし、そのお金を子供のために使いたいとも思ったから。
仕事を辞めないのは、私の中の小さな意地。
きっと、結婚の話が社内にバレたら、私のことを悪くいう人が出てくる。
特に彼を狙っている女性たちの噂の的にされるだろう。
そこから逃げたくはないし、負けたくない。
主任はあまりいい顔をしなかったけれど、最終的には頷いてくれた。
「せめて、今のプロジェクトは最後までやりきりたいです。身体にはちゃんと気遣いますから」
「……綾音ならそう言うと思った」
「お願いします。主任」
「……結婚と妊娠の報告はそのプロジェクトが終わったらにしよう。あと2週間だ。俺もお前の負担になり過ぎないようにするから、お前は自分の体調を最優先にすること」
渋々といった表情で話す主任に、私は微笑んだ。
「ありがとうございます!主任!!」