あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「……なんか、ごめん。もっと気をつけとくべきだったな」
「…………」
何に対して謝っているかを訊くのは野暮というものだ。
「綾音だけ苦しそうなのが本当に申し訳ない」
主任は本当に申し訳なさそうに、眉を下げた。
仕事中は自信家で少々強引なところがある主任には珍しい表情だ。
思わずその顔を凝視した。
途端に主任が訝しげに眉をひそめてしまった。
「何見てんだ」
「いえ、申し訳なさそうにする主任を初めて見ましたし。それに、社内で私を名前で呼ぶのも初めてでしたから、つい」
素直に応えると、主任の眉間の皺が深くなった。
「俺だって申し訳なく思うこともある」