あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
平日は毎日、残業を引き受けて、家に着くのは11時。
シャワーだけ浴びて、ソファで眠る毎日。
ベッドは一応メイキングしたのだけれど、新生活のために買ったダブルベッドを一人で使う勇気は出なかった。
朝早くに起きて、珈琲を飲んで、出社。
誰も出社していない会社では仕事が捗った。
どんなに心に鎧を被せても、女子社員の言葉は鎧さえも突き抜けてくる。
家は家で、ひとりぼっちが実感されて、落ち着かない。
そんなこんなで迎える土曜日。
明日で失恋一週間記念日。
どうしても、終わんなーいと泣きついてきた後輩に代わり、土曜日出勤して、仕事を片付けていたら。
同じく出社してきた矢田部長に睨まれた。
「中田さん。オーバーワーク」
「そんなことないですよ」
「だって、その仕事、中田さんじゃなく、鈴木さんに頼んだやつ」
「代わってくれって頼まれました。月曜日の朝までですよね。大丈夫です、期日は間に合わせます」
私の言葉に矢田部長はため息をつく。
「そういう意味じゃなくってね……」