あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「いいな。こういうの」

「はい?」

「家で誰かが待っているって、いいな」

主任の腕に掛けた手に力を込める。

いつも、主任の情熱に溶かされる私。
でもたまには、こんな温もりもいい。

主任はお腹に負担を掛けないように注意しながら、抱きしめてくる。

「……あったかいな、お前」

今まで気付かなかった幸せ。
安堵にも似たその温もりがゆっくりと睡魔を呼び寄せる。

意識を失くす直前、彼が私の耳に囁いた。

「……おやすみ。ごめんな。さっきは冷たくして」

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