あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「明日の朝礼で、二人のことを報告するよ」

部長の言葉に、息を大きく吸い込んで、思い切り吐こうとしたら、ため息になりそうになった。
慌ててゆっくりと息を吐く。

とうとう、社内に結婚話が伝わる。

主任を密かに想っている人たちに何を言われるだろう?
何をされるだろう?

仕事に支障をきたさない嫌がらせでお願いしますと心の中で、手のひらを擦り合わせて、誰にというわけでもないが、懇願する。

「気丈にしなさい。中田さん。君は何も悪いことはしていない」

「仕事に支障をきたすようなことがあれば、ちゃんと俺か部長に相談すること」

部長と主任がそうアドバイスをくれる。
恐らく二人とも、結婚報告のあとの女子社員の言動が想像できるのだろう。

そして、それは私が思っていることときっと同じだ。

「もちろんです。ご心配おかけして、本当に申し訳ありません」

私は、いつもいつも、心配をかけてしまっている、二人の上司に頭を下げた。

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