あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
12プロポーズをもう一度


「女子たちに何か言われたか」

主任にそう問われたのは、帰りの車内だ。

結婚報告はしたから、隠す必要もないだろう、と堂々と主任の車で送ってもらえることになった。

「まぁ、色々言われましたけど、仕事に支障はありませんでした」

そして今から約束通り、主任の家に向かう。
今夜一晩は泊まっていく予定だ。

「仕事に障りが出ていないのは、分かっているよ」

スーツのジャケットを脱いで、ワイシャツ姿で運転している。
アームレストに左手を乗せて、右手運転。

どこか気が抜けた感じもするが、様になっている。

根がイケメンなだけに、何をやらせても似合ってしまうよね、この人。

「……問題はお前の心のほうだ、って」

主任の運転に見惚れていた私は、その声に慌てて、返事をする。

「私は大丈夫ですよ?」

主任には心配かけまいと、笑顔を作る。なのに、主任は怒ったように、眉を潜めた。

「強がるなよ。お前無茶して、一人で抱え込むんだから」

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