あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


私が強がると、主任はいつも機嫌が悪くなる。

初めての夜もそうだった。
眉を潜めて、主任は強引にも私の部屋に上がってきた。

そして、私から寂しさを取って、その代わりに、温もりと新たな恋と赤ちゃんをくれた。

「"主任が可哀想"って言われました」

潜めた眉に観念して口を開くと、鋭い視線が私を貫く。

「前見て運転!」

主任が私を見ていたので、慌てて叫んだ。
真っ直ぐな道とはいえ、前見て運転してれなくちゃ、怖いです。

「何で俺が可哀想なんだ?」

到底理解できない、と言った顔で、主任は運転を続ける。

「ちょっとした遊びのつもりが、責任を取らされることになった、って」

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