あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
私が言われたことを正直に白状すると、主任の皺がますます濃くなった。
「……不愉快な思いをさせてしまったら、ごめんなさい」
余計なことを言ってしまったかなと謝ると、主任は運転しながら、首を横に振った。
「お前が謝ることじゃない」
「……でも……」
「俺のこと、気にしてくれているんだよな?ありがとう」
フッて彼が鼻で笑った。
人を馬鹿にする素振りは見えないから、きっと、この笑い方が主任なんだろう。
私と結婚して、子供が産まれて。
何年か先、主任はこうやって、笑ってくれるんだろうか。
「……あの、主任」
この際、聞いてみようと思った。
まだ籍を入れていない、今ならまだ間に合うから。
「なんだ?」
「……主任、正直に言ってくださいね」
改まった私の声に、主任は怪訝そうな顔をする。
「責任を取らされたって思いますか?」
「綾音」
質問が心外だったのか、主任は私の名を呼び、目を見開いた。