あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


……うそ。
信じられない告白に、私の瞳から涙が溢れた。

彼の指先がその雫を拭ってくれる。

じゃあ、彼は……初めての夜から、ずっと私を想っていてくれたの?

「でも俺は卑怯だった。言い訳をさせてもらえるなら、寂しさを癒やす方法が他に思いつかなかった」

「……どうして朝、一緒にいてくれなかったんですか」

責めるわけでも、罵るわけでもなく。
ただ事実を知るために尋ねた。

私の質問に、彼は苦虫を噛み締めたような顔をする。

「ごめん。苦しかったから。夜の間に帰った」

「……苦しかった、から?」

「綾音、いつもすぐ寝てただろう?そしたら、寝ながら、ずっと、元カレの名前を呼んでいたんだ」

私は信じられない思いがして、手のひらで口を覆った。
『勇輝』って言ってたの?私

……ああでも確かに。
付き合っていたとき、私は苦しくなったら、彼の名前を呟いて、元気を貰った。

"勇輝も頑張ってる。だから、私も"って。

その癖が残っていたの?

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