あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


初めて入った主任の部屋をゆっくり見回す暇もなく、寝室に連れて行かれた。

ベッドに仰向けに寝かされて、主任が上に跨がる。
だけどちゃんと、お腹に負担は掛けないようにしてくれる。

「見慣れない場所……」

見上げる天井がいつもと違うから。
どこか落ち着きがない私。

初めてなんかじゃないのに。
初めてのような緊張感がある。

「……今夜が、俺たちの恋人としての初めての夜だな」

恋人として。
その言葉に、また涙がこぼれる。

もう溢れる愛しさに、蓋をする必要なんてない。

「……好き。貴幸さん」

「俺も好きだ。綾音」

主任が優しく、優しく、キスをしてきた。

甘い、夜のはじまりだった。

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