あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


一通り、挨拶を終えたあと、松山さんは俺のもとへ足を運んだ。

「お久しぶりです。松山さん」

「おう。お前もとうとう主任か。偉くなったな」

「松山さんがビシバシ鍛えてくださったおかげです」

俺の言葉に松山さんは声を上げて笑った。

「俺は何もしていない。お前が勝手に俺を見て、学んだだけだろ?」

入社してすぐに配属された営業部の当時の主任が松山さんだった。
俺は松山さんの営業について回り、その会話術を盗んだのだ。

「それより、お前に聞きたいことあんだけど。今手があくなら、休憩所来てくれないか?」

「いいですよ」

5時から会議が入っているが、それまではフリーだ。
パソコンをフリーズ状態にして、立ち上がった。

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