あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「部長。仕上がりました」

鈴木さんの代わりに作った資料を部長に手渡した。
部長は私の資料をパラパラと捲り、う~んと唸った。

何か不手際があったかと、私は慌てる。

そんな私の気持ちを露も知らず、部長は呑気な声をあげた。

「仕事を任す人を最初から間違えていたよ。鈴木さんの作るものより、ずっと読みやすい」

「あ、ありがとうございます」

「こちらこそ、わざわざ休日出勤までしてくれて、ありがとう」

出来上がったら、私のデスクに置いといてくれと鈴木さんに言われていたがそこはちょっと私の復讐。

私が仕事を代わったことは内緒にしたい鈴木さんの代わりに先に部長に出してやる。

月曜日の朝、顔を青ざめる鈴木さんが目に浮かぶようだ。

「中田さん、ご褒美に夜ご飯奢るよ。井上くんも一緒にどうだい?」

「いえ僕は……」

「今日は嫁が実家に帰っていてね。さみしいから一緒に食事しておくれよ」

最初は遠慮していた井上主任だったが、部長に押し切られて、三人で近くの居酒屋へ行くことになった。

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