あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「今日はクリームシチューにしてみました!」

ダイニングには湯気をたてたシチューを入れた皿が置かれていた。

「美味そう」

素直な感想を言うと、綾音は嬉しそうに笑った。
それから俺が脱いだコートを受け取って、ハンガーに掛けてくれる。

「今日の営業補佐、すごい浮かれてましたね」

ご飯を準備するまでの間、今日の営業部について話し合うのが、いつもの流れ。

「松山さんパワー凄かったな」

ため息だ。
松山さんが「まだ引き継ぎがあるから」と帰ったあとも、営業補佐の黄色い歓声はなかなか消えなかった。
何回、睨みつけたかわからない。

「あれだけ素敵な容姿で、仕事は出来て、おまけに独身となれば、モテるのも納得ですけどね」

ダイニングテーブルによそったご飯茶碗を置きながら、綾音は言う。

ふと、松山さんの言葉を思い出した。
綾音は昔、松山さんが好きだったのだ。

松山さんが綾音を狙って、口説いたとしたら、綾音は……どうするんだろうか。

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