あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「『starlight』のキララくんパッケージはあいつのプロジェクトなのか?」

静岡の工場ではそのパッケージを作ってくれていた。そこの工場長だった松山さん。

その仕事が平野さんがいる『starlight』だと分かっていたのだろう。

「そうですよ。今日はその売り上げの報告に来てくださったんです」

「そうか。あいつ、頑張ってんだな」

フッと愛おしそうに微笑んだ松山さん。

歓迎会で好みのタイプを問われたとき。
仕事に妥協しない女が好き、と言った彼の言葉は、あながちその場逃れのものじゃなくて、本音だったのかもしれない。

「……駄目だなぁ。まさか、3年も経ってんのに、こんなに動揺するなんて」

松山さんの顔が今度は自嘲気味になった。
今日の松山さんはコロコロと表情が変わる。それだけ、彼のなかに、まだ平野さんへの未練があるのではないかと思った。

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