あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
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思いのほか、質素なんだな。
それが、初めて社長室に入った感想だ。
社長室といえば、社長がふんずりかえって仕事できる椅子とかあるんだ、と思っていたが、そういうものは見当たらない。
部屋の真ん中に置かれた机と椅子は、どう見ても、俺たちが使っているものと変わらない気がする。
社長秘書の女性に促されて、腰掛けた応対用の椅子も、営業部にあるそれと大差は無さそうだ。
「井上くんは、社長室に入るのは初めてかい?」
「はい」
宮原部長の言葉に頷く。
「想像以上に質素だろう?」
まるで、心の声を読まれていたかのようで、俺は苦笑した。
いくら、社長も秘書も部屋にいないからって、さすがに、堂々と言うのは憚られたからだ。
「社長の意向なんだよ。社長だからといって、特別視されるのは可笑しいってね」