あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


社長に促されて、椅子に腰掛けた。

「本日は社長にお願いがあって、参りました」

俺が口を開くと、社長はほう?と耳を傾ける。

「本日、今週付けで営業補佐である井上綾音を総務部に異動するという人事が下りました。その件についてです」

社長が絡んでいたこの人事。
目の前の社長も記憶に新しいだろう。

俺は一つ、息を吸って、頭を下げた。

「社長、お願いします。この異動を白紙に戻してはいただけないでしょうか」

< 191 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop