あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
夜目にも分かるほど、綾音は頬を赤く染める。
その様子をジッと見ていたら、照れた綾音が、手のひらで顔を覆う。
その手首を捕まえて、顔を隠せないようにした。
「……お前の方こそ、他の男見るなよ?」
目を見つめて釘をさすと、綾音がフフッと笑う。
「心配性なんですね」
「……腹立つくらい素敵な男性、山ほどいるだろ」
「たとえば?」
「松山さんとか」
素敵な男性と言って、一番に思い浮かんだその人は、(本人いわく)、かつて綾音が好きだった男性。
「……松山さんには素敵な想い人がいらっしゃるんでしょう?」
「だけど、綾音が松山さんに惚れ直すかもしれないだろ……?」
俺がそう言うと、綾音はしばらく真顔でジッと俺の顔を見た。