あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「営業補佐が言うには、一時間以上前に営業部を出ていったらしいです」
「そんなに?ずっと立ちっぱなしだよ、中田さん」
矢田部長の眉間の皺も更に深くなる。
妊婦に立ちっぱなしはよくない。
……大丈夫か。
「中田さん、体調大丈夫かな」
同じことを考えていた矢田部長が呟く。
「とりあえず、あの二人、引き離しましょうか」
「そのほうが良さそうだ」
松山さんが俺の意見に同意し、矢田部長も頷いた。
一歩踏み出そうとしたとき、それまで沈黙を守っていた吉岡さんが声を発した。