あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
03主任の眉
「ほんとに……片付けてないんだな」
ダンボールが詰まれたままの部屋を見て、主任は唖然とした。
「先週の日曜日に引っ越してきて……そのままです」
「お前ソファで寝てるの?」
「……はい」
ソファの上に置かれた毛布が目に入ったらしい。
服やタオルなどはダンボールから取り出して使っている。クローゼットは一応あるけれど、まだ空っぽだ。
毛布を床におろして、ソファに座る場所を作った。
「珈琲でも淹れますね。ブラックでいいですか?」
「ああ、うん」
台所に向かい、やかんに火をかける。
台所にも、ほとんど物はない。
珈琲を淹れるやかんとマグカップ。
このところ、料理もまともにしていなかったことに今更気づいた。
二人で借りた部屋は2LDK。
一室を寝室に、もう一室に棚を置いて、物置きにしようとしていた。
ひとりだとどうしても、広すぎる。
だけど、もう一度、引っ越す余裕は金銭的にない。