あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
綾音が不敵に笑って、俺と目を合わせた。
驚いたように、吉岡さんは振り返る。
「井上くん!?いつから……!」
「俺が女と遊びまくってるって辺りから」
そう言うと、吉岡さんの顔が曇った。
俺は眉を潜めながら、二人に近づく。
「本人目の前にして、ヘタレとか言ってくる綾音も綾音だけど、何の根拠もないデタラメばかり言う吉岡さんもどうかと思いますが……?」
追い討ちを掛けるように言うと、吉岡さんは罰が悪そうに俯く。
弱気になった吉岡さんに、綾音も一歩近づいた。
「貴幸さんを困らせないで下さい。吉岡さん」
「私は別に困らせてなんか……!」
反論するために勢い良く上がった吉岡さんの瞳を強気な綾音の瞳が捕えた。
「困ってるんです。無表情だから、パッと見じゃわかんないけど、とても困ってますよ」
「困らせたい訳じゃない!私はただ、彼が好きなだけ……」
言い訳じみたことを言い出す吉岡さんを綾音は睨みつける。
そして、大きく息を吸い込み、言葉を発した。