あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
9
「……綾音」
憔悴しきった顔の綾音がベッドで眠っている。
汗で濡れた前髪を掻き分けてやると、綾音は閉じた瞼を更に強く閉じた。
その細い腕には、点滴の針が刺さっている。
鎮痛剤だと、看護師は言っていた。
あのまま、意識を失くした綾音に、パニックになってしまった俺の代わりに、救急車を呼んでくれたのは、松山さんだった。
救急隊員に綾音が妊娠4ヶ月であることと、一時間あまり立ちっぱなしだったことを告げて、いつも通院してる病院に運んでもらった。