あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
「新米パパさんにも色々苦難があったんですね」
綾音は嬉しそうに笑ってくれる。
「まぁ、これからも色んな苦難が待ってるでしょうけどね。あ、平野さん。ぐっすり眠っているうちに真幸をパパに渡してください」
綾音の声にギクッと肩が揺れる。
「あ、了解です!」
平野さんが真幸を抱いて、こっちへ来る。
他の皆からの好奇心の視線が痛い。
「さぁて、新米パパさんの苦難が始まりますね!」
平野さんから真幸を受け取る。
綾音から受け取ると、いつもどんなに寝ていても、パチって目が開くんだなぁ。
柔らかい首を守るように手を回す。
愛おしい命。
この子が生まれ、その元気いっぱいの泣き声を聞いたとき、俺は不覚にも涙した。
その子は、今、俺の腕の中で、安らかな寝息をたてている。
「ね、寝てる……!」
泣かなかったのは初めてだったから、俺は嬉しくて、小声で綾音に報告した。
綾音も感激した面持ちで何度も頷く。
「貴幸さんが抱いて、泣かないのは初めてですね」
「俺も成長したかな?」
なぁ、真幸。
腕の中の我が子に心の中で呼びかける。