あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
これから先、色んな苦難が待ち受けてる。
泣きたくなる日もある。
やるせないときもある。
だけど、真幸に掴んで欲しい『真実の幸せ』は、きっと、苦しみ悩んだ末にあるものだと思うから。
大いに苦しめ。
大いに悩め。
人生はどう転がるか分からない。
だけど、いつか光は届くから。
「真幸……」
その短い髪に触れようとした刹那。
「ウ、ウワァァァァァァン!!!」
これでもか、と言わんばかりの大号泣。
「真幸ぃ」
身体を揺すり、綾音がやるように背中を叩いてやるけど、真幸の泣き声は酷くなる一方だ。
「やっぱり、貴幸さんは泣かれるんですね」
綾音が苦笑いする。
俺は真幸を泣きやますために必死。
他のみんなは、そんな俺を見て、爆笑している。
しばらくは、こんな苦難が続くようだけど、間違いなく言えることはただひとつ。
「大変だな。赤ちゃんって」
他人事みたいに呟いた春日に気づいたことを教えてやる。
「でも、今はすごく幸せ」
俺の言葉に綾音が嬉しそうに微笑み、みんなから「惚気ちゃって」とからかわれたことは言うまでもない。
【エリート主任の苦難】~fin~