あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「……いや……やだ……ん……っ!!」

手つきは優しいのに、外すところなく、弱いところを攻められて。

「しゅ……にん……んんっ!!」

「今は貴幸(たかゆき)」

名前で……?

朝になれば、上司と部下に戻るのに?
名前を呼ばなくちゃいけないの?

「名前で呼んで。綾音」

聞き慣れない言葉にくすぐったかった。恥ずかしかったけれど、彼が求めるなら……ちゃんと返したかったから。

「……ありがとう。貴幸さん」

背中に腕を回しながら、そっと囁くと、彼の指先が不意に止まる。

「……?」

薄目を開けると、彼が私を見つめていた。

「……大丈夫だから。綾音」

彼はそう呟き、次の瞬間、私たちは、上司と部下の最後の一線を越えた。


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