あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
鳥のさえずりが聞こえた気がして、私は瞼を上げた。
その軽さから、何だか久しぶりによく眠れた気がした。
「あれ?……ここ……」
見慣れない天井。窓から差し込む光が、空気中の塵に反射して、キラキラしている。
慌てて身体を起こして、毛布がはだけた瞬間、自分が一糸まとわぬ姿であることに気がついた。
乱れたシーツに昨晩の記憶が蘇る。
『寂しいなら、そばにいてやる』
指先、唇、舌。
身体を貫いたあの熱。
互いの吐息。
「綾音」と呼んだあの声。
快感に寄せられた眉。
昨日……主任に抱かれたんだった。
きっと、行為のあと、気を失うように眠ってしまったのだろう。
ここは寝室だった。
どうやら私はこの家に来て、初めて、ベッドで眠れたらしい。