あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
会社に着いてフロアが違うみのりと別れる。
自分のデスクに荷物を置くと、待ってましたと言わんばかりに後輩の鈴木さんが顔を青ざめて、近づいてきた。
土曜日に出勤する羽目になった仕事を頼んできた女子社員だ。
いつもは朝礼ぎりぎりに部屋に駆け込んでくるというのに、今日は珍しく早い。きっと、私に頼んだ仕事を朝早く仕上げました感をアピールするために、わざわざそうしたようだ。
彼女の頭の中ではデスクの上には私が作った書類があって、それが完璧なのを見たら、お茶でも淹れてティータイムする予定だったのだろう。
しかし、いざ出社してみれば、書類がないではないか。
それで、大慌てで私の元へやってきたのだろう。
この推測、外れてないはずだ。
そりゃあ書類は矢田部長に先に私が提出しておいたから、デスクにないに決まっている。