あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。
先に春日くんに頼まれた発注をかけておこうと、書類を見て、首を傾げた。
あれ?毎月よりも一桁多くない?
今月だけこんなに、ということはあるだろうか?
一応、主任に確認しよう。
この取り引きは、春日くんの補佐を主任が受け持っていたはずだ。
「井上主任。すみません。少しいいですか?」
「ん?どした?」
「春日くんに発注を頼まれたのですが、発注数が一桁多い気がして」
書類を見せると、主任は一読して頷いた。
「中田の推測通り。全部一桁多いな」
「ですよね」
「あとで春日に忠告しとくよ。ありがとう」
帰ってきた春日くんは主任の忠告を受けたあと、青ざめた顔で私の元に謝罪とお礼を言いにくるんだろうなぁ。
「いえ。では、失礼します」
身を翻そうとした私はあ、そうだという声に呼び止められる。
「中田。話がある。ちょっと会議室まで来れるか?」
「は、はぁ」
人目がつく場所ではしにくい話なのか。
何の話か想像がつかず、怪訝に思いながら、私は主任のあとをついていった。